ANSWER 32

夏休みはドキドキ胸キュンするお話をお届けしたかったな・・・(;^ω^)

思うように進んでませんがそろそろ佑君先に進もうよ♪

(佑君は悪くない、悪いのは私です)

つくしちゃんと菜花ちゃんがどんな話をしたのか気になるところですがそれはまたの機会ということで~。

「先に帰っていいから」

「だめだ、一人で退院させたっていったら、後が怖い。

ていうのは冗談だけどな」

真顔で詰めよってきたお兄ちゃんの顔はクシャと笑う。

人をとろかす笑顔。

お兄ちゃんが見つめてる方向とは別な角度から興奮気味に聞こえた「キャー」の声。

いったいいつのまにこれだけの人が集まったのか。

入り口にいる鮎川さんの後ろから空いている空間を見つけては視線の光線がいくつもいくつも伸びている。

お兄ちゃんの笑顔。

それは自分に向けられたものじゃなくても貴重な価値があるって思える現象を今私は目撃した。

英徳でも抜群の人気だだったもの。

中学の校舎を棟が違うはずの小学生から幼稚園児まで遠出。

迷子になった5歳児をお兄ちゃんが抱っこして幼稚園の棟まで連れて帰ったって話。

あの後だよ。

わざと迷子になる園児が続出。

私の同級生の女の子も迷子のふりしてたんだよね。

お兄ちゃんのいなくなった英徳。

翼と佑の人気もすごいけど幼稚園児の迷子が出ることはない。

「佑が退院でできるころにまた来るから、連絡して」

さわやかな笑顔を浮かべて最後は「絶対だぞ」念を押された。

最後の口調は有無を言わせない絶対的威圧感。

専制君主的なオーラで人をひれ伏させる迫力はパパ譲り。

「大内君、検査ですよ」

先に看護師さんから呼ばれたのは大内先輩。

ベッドから起き上がって松葉づえに手を伸ばしたところで目の前に差し出された車いす

車いすを押してきたのは本城さん。

車いすと本城さんを同等で見る冷めた瞳。

「邪魔」

腕でぐっと後ろに追いやって松葉づえを一歩、前に進める。

身体がよろけるようなことがあれば可愛げもあるけど慣れた足取りで松葉づえをついて歩く。

手助け不要のオーラを前面に貼り付けてる。

先輩を呼びに来た看護師さんでさへ遠慮気味に眺めてる。

「恭様、無理しちゃだめですよ」

誰が見たって無理してるようには見えないしっかりとした足取り。

ハラハラと心配する表情で手を出したいのに出せない感じの本城さん。

「ついてくるな」

「そばにいれば何か役立つことがあるかもしれませんよ」

冷たくれてもめげない明るい笑顔を本城さんは浮かべて先輩を見上げる。

飼い主にまとわりつく子犬。

尻尾を必死に振ってるのにいつまでたっても頭を撫でる腕は降りてこない。

それでもご主人のあとを忠実についていく。

ちっとも気にかけてない大内って冷たすぎだよ。

「あいつ、あれでも本城さんがついてくるのは許してるみたいだね」

佑がベッドの横の椅子を私に差し出してくれた。

ベッドから起き上っていた佑も自分のベッドの端に腰を下ろしてる。

「そうかな・・・」

本城さんが必死でついていってるだけじゃないの?

「本気で付いてほしくなければ、足早に出てって本城さんの目の前でびしっとドアを閉めれば済むって思うよ」

見えなくなった廊下の先で先輩の名前を呼ぶ本城さんの声が聞こえた。

「佑も気にしてたんだ」

「俺?俺が気にしてたのは舞だから」

「ムッとしてたろう?」

首を傾げて覗き込んできた佑。

佑の吐く息がわずかに頬に触れる。

伸びてきた佑の指先が私の頬になんの前触れもなく頬に触れるから心臓が落ち着かない。

「ムッとはしてないから」

顔を横に向けたのにまだ佑の指さきから完全に逃れられない。

「そうかな? 俺には気に食わないって顔してるように見えたけど?」

「ちょっとは・・・そうかも」

冷たいって思ったことは本当。

ただそれだけ。

私が口だしすることじゃないって学習したはず・・・。

それでも気になるものは気になる。

「舞・・・」

頬から離れたと思った佑の指先が私の指先と重なった。

さっきよりドキドキしてきて唇がカラカラになってる。

息を飲むのと同時に自然と唇で上唇を舐めていた。

まっすぐに私を見つめる佑の瞳はきらきらと輝いて吸い込まれそうで・・・

名前を呼ばれたはずなのに何も言えなくて・・・

佑の次の言葉を待っていた。

拍手コメント返礼

りり様

恋には障害がないとね~。

大学生の二人はどうなってるのかな?

司パパもあきらめてる?

舞や佑よりも気になる末っ子。

どうしてるんでしょうね?

goemon様

時々垣間見える駿君の中の司パパのDNA。

舞ちゃんも佑君も小さいころから見てますよね。

いい男ばかりに囲まれてる舞ちゃんの男性基準はどこまで高いのか心配になります。