迷うオオカミ 仔羊を真似る 5
添い寝♪SOINE♪そいね♪ソイネ♪
司の添い寝!
逆にドキドキしすぎて眠れないぞ~。
気が付けばユーカリの木にしがみつくコアラのように司にしがみつくつくしちゃん。
司が寝不足になってたりして・・・(;^ω^)
「携帯の電源を切るのはおやめください」
「俺の居場所突き止めてんだから問題ないだろう」
迎えのリムジンに着替えのスーツ。
すべては会社に行くための手配。
そして俺の目の前に座るのは澄ました表情の西田。
若い秘書はタブレットを操作して仕事をするのが大半の時代に西田は黒革の手帳を指先でめくる。
牧野の退院まで付き合うつもりが時間切れだと連れ戻された。
「つくし様のことはお任せください」
西田のことだからなんお手ぬかりもなく牧野は昼前には自宅に戻ってるのだろう。
俺のほうはというと・・・昨日勝手にスケジュール無視して仕事をキャンセル。
それより。
あんな起こし方あるか!
「代表、つくし様はどこですか?」
牧野の入院を知るまで俺は連絡の取れないあいつを探しまくってたんだぞ。
それを一番知ってる西田が「どこですか」だからな!
また牧野がいなくなったかと焦って飛び起きた。
もう少しでベッドから転げ落ちそうな落ち着きのなさ。
「道明寺・・・?」
牧野の声にホッと大きく息をつく俺の横で「目覚めたようですね」の冷静な西田。
ほんと!こいつには頭にくる。
ついでに俺の不機嫌を全く関知しない態度もムカつく。
ジャケットの袖口をちらりとめくって左の手首が銀色にきらりと光る。
「あと五分です」
分刻みのスケジュールのあわただしさを西田が告げると時間に余裕があるように感じる不思議。
「今日はおとなしくしてろ、仕事が終わった会いに行くから」
そう言い残して牧野の病室を出た。
車に乗ったとたん説教気味の西田。
「俺に内緒にしておく必要はないだろう」
牧野が倒れたことを一番に俺に知らせる気味は西田にはあるはずだ。
「坊ちゃんが会いに行ったら休めるものを休めないかと思ったもので」
そりゃ・・・確かにな・・・
あいつがそばにいると落ち着かなくなる。
そばにいると触れたくなって・・・
抱きたくなって・・・
歯止めが効かなくなって・・・
夢中にさせられて・・・
それでも仕事には支障はきたしてないはずだ。
って・・・支障をきたしたのは牧野だった。
そこは反省してるよ。
でもな、だめだといいながらしがみついてくるあいつが俺を煽る。
俺だけの責任じゃねぇんじゃねーの?
あいつを抱きしめただけでなんにもなかった夜。
柔らかい感触とありふれた石鹸の香り。
すやすやと寝息をたてる無邪気な寝顔。
どんな夢を見てるのか小さく笑った唇が「道明寺」とつぶやいてすがるように俺の襟首をギュッと指先がつかんだ。
こそばゆい感覚はうれしさと愛しさを一気に胸の奥で混じあってこいつがそばにる幸福をかみしめる。
たまにはこんな日もあっていい。
そう思えた。
たまに・・・だからな!
半年に1回とか?
1年に1回・・・・とか・・・・
「代表」
坊ちゃんから代表に呼び名が変わった西田は完全に仕事モードに切り替わってる。
「明日からは視察という名目でスケジュールを組んでますのでラフな格好で準備をお願いします」
最近時々やってるお忍び視察。
代表としてじゃやなく一般人として系列店の客への対応を評価するってやつだ。
半年前のホテルの視察じゃ玄関からフロントまで行き着く前に支配人がすっ飛んできて視察する前にばれた。
服を変えたくらいで俺のことがばれないとは思えねぇんだけど。
西田!今回は大丈夫かよ。
ばれて視察になららなくても俺にせいにするなよな。
まずはさっさと今日の仕事を終わらせてあいつに会いに行く。
「おい、この道・・・」
会社じゃなく空港へ向かう高速にのってないか?
「大丈夫です。今日中には帰れますから」
車窓に視線を映す西田の横顔。
「これでつくし様も疲労がとれるといいですね」
目を細める西田は西田なりに本気であいつのことを心配してくれているのはわかる。
だから、何も反論できなくなる。
くそっ。
言いなりに仕事をするしかない気分に持っていかれることにムカついていた。
拍手コメント返礼
りり様
しっかり休養しないとこの夏は乗り切れませんからね。
あっ・・・つくしの場合しばらくは続くのかな?(;^ω^)