門前の虎 後門の狼 12

なんとなく11で書いた『我儘坊ちゃんメイドを惑わす』の一文がチカチカ頭の中で飛んでます。

どんなお話になるのでしょう?

いや~

私大丈夫かな?(;^ω^)

この状況が楽しくないはずはない。

道明寺と・・・

私の好きな人と・・・

一番大好きな彼氏と一緒なわけで・・・

強引すぎる行動も道明寺らしくて・・・

そんな道明寺にしては質素なマンション。

質素と言っても私からしたら十分贅沢だけどね。

「このくらいの部屋ならお前をずっと見てられる」

そう言った道明寺は確かに楽しそうに私を眺めてる。

見られてる視線が気になって、気になって落ち着けない。

家事は分担だと宣言しながら食事の片づけは結局私が全部やってる。

道明寺に洗いものさせたら明日に食器を全買いなおす羽目になりそうな不器用さが目立って私を慌てさせた30分前。

「まだ終わんねぇの?」

「見たらわかるでしょ!」

「手伝うぞ」

「いいッ」

ソファーから立ち上がろうとする道明寺と何度目かのやり取り。

私の静止を無視して立ち上がった道明寺はスーと私の背中に位置をとる。

ふわりと私を覆うように伸びてきた長い腕は私の胸のところで十字に交差。

その腕をわざと押しつけてくるから胸の丸みは押しつぶされて形を変えてる。

手のひらで触れるよりはやらしさはないけどそこはやっぱり気になる。

「あのさ、これじゃ終わらないんだけど」

グイと首をそらせて顔を上げた私。

いつもとは違う逆さに見える道明寺の顔。

逆さに見えてもかっこよさに変わりがないことに気が付いた。

睫毛が長いとか・・・

鼻毛ないんだとか・・・

鼻の穴まで綺麗だって感心してる自分がいる。

私の鼻の穴大丈夫だっけ?

慌てて自分の鼻先をつまんでいた。

「まさか俺にキスを拒んでるのか?」

鼻をつまむ手の動きは自分の口を隠してるってことに道明寺の言葉で気が付いた。

「そんな、つもりじゃなんだけど」

鼻をつまんだままの鼻閉気味の声は間抜けだ。

「お前がいると飽きねぇ」

スルリと道明寺のくせ毛が私の頬を撫でるように落ちて鎖骨に感じる道明寺の息遣い。

息だけじゃなく柔らかい唇の感触にヒャーと上げそうになる声を喉元で必死に抑え込んだ。

息を止め過ぎた息苦しさが鼻をつまんでるせいだともう少し気が付くのが遅れたら私は確実に酸素簿足に陥って窒息してた気がする。

「あのさ、まだ寝るには早いよね?」

「ん?」

頭を起こした道明寺の鼻先は私の頬に触れる近さ。

なんだか、さっきよりやばい気がする。

いやだとかそんなんじゃない。

キスすするだけでドキドキした。

道明寺の唇の感触を思いだすだけで眠れなくなっていた。

それはつい最近までの私。

道明寺と幾度目かの夜を一緒に過ごして、道明寺の腕の中で目を覚まして感じる幸福度は満足してる。

それでも道明寺とそうなることにまだ慣れてないというか、恥ずかしさのほうが先に来る。

なのに、最近の道明寺は箍(たが)が外れるというか、今日のお昼のように当たり前みたいに他人のまえでキスをしてくる。

見られても気にしないって言うか、わざと見せつけてるんじゃないかと思ってしまう行動に、私だけが過剰に反応してしまう。

それでも最終的には私が受け入れちゃってるんだよなぁ。

これがダメなんだ。

わかってるのに許せちゃうのは道明寺が好きなんだからだと思う。

期待してるワクワク感満載の顔の道明寺がグイッとさっきより腕に力を込めて私を抱きしめた。

「そんな、意味じゃ無くてッ!」

「そんなってどんな意味だ?」

私の考えはすべて見透かししてるような意地の悪い笑みを道明寺が浮かべてる。

「ほら、暇なときはDVDを見るとか」

そうだよ!

たまにはゆっくりお菓子でもつまみながら二人で見る映画ってのもいいものだよ。

これで2時間はつぶれる。

「DVDなんて用意してねぇぞ」

「レンタルって便利なものが世の中にはあるの」

マンションから遠く離れてないところに見つけたレンタル店の看板を思いだす。

「一緒に行かない?」

レンタル店で道明寺はどんな反応を見せるのか。

借りる必要なんてねぇだろう。

この程度の反応は想像できる。

道明寺の屋敷はシアタールーム完備。

レンタルするなんてことないだろうし。

「なに、ニヤついてんだよ」

「道明寺ってさ、レンタル店とか初めてだよね?」

「お前といると珍しことばかりやらされるからな」

数段高いところから見下ろすようなぼやくような表情の道明寺。

「付き合ってやるよ」

私を小ばかにしたような表情のあとで嬉しそうに微笑むから何も言えなくなった。