DNAに惑わされ 59

「離れろ!ブス!」

一睨みで凍死してしまいそうな冷たい態度で君のパパなら排除してしまう展開なんだけどなぁ~

やさしい駿君には無理だろうなぁ。

やさしさがとんでもない事態を巻き起こすのがトラブルメーカのつくしちゃん。

そこはママに似ないことを影ながら祈っております。 ← うそだぁ~

街中ほどの人ごみはなくてもまばらに歩く人の影。

規律的に歩く歩幅が僕らの周りでゆっくりとスピードを落とす。

僕らが興味を持たれてることは確か。

何とか逃げようと試みる僕に縋り付く彼女。

ニットキャップを眉を隠すほどにかぶっての黒縁眼鏡。

今年流行の着こなしの服装のセンスの良さ。

どこか変装してる感じはゆがめないはずなのに、関心を引き寄せてしまうオーラ。

これが今売れてる若手女優の実力ってことだろうか。

「せっかく時間を見つけたやっと来たのに追い返さないで」

僕を見上げる瞳がきらきらと輝いてじっと見つめる。

涙で少し潤んだように見える瞳に吸い込まれそう。

演技なのか本気なのか惑わされそうになる瞬間。

恋人同士の設定で撮影に挑んだときの再現が今ここにある。

一瞬時間が止まった。

グイっと右腕に巻き付かれ彼女の両腕。

腕に触れる柔らかい膨らみ。

気にするなって言うほうが無理。

鮎川のほうがもっとあるような・・・

人気絶頂の彼女よりついさっきまで一緒にいた鮎川が頭の中に浮かんでる。

そんな想像してる場合じゃないのにッ!

このままじゃ誰かに気付かれる。

追い返すのが無理ならこの場を離れるしかない。

ジャケットで隠すようにしてマンションの玄関を開けて中にはいる。

こそこそと隠れるように自分のマンションに帰る日が来るとは思わなかった。

「いいところに住んでるね?」

「一人じゃないから、すぐに帰ってもらわないと困る」

ここは親と同居してるってことで押し切る秘策。

「知ってるよ。

一人暮らしだってこと」

棚に置いてあったフォトフレームを覗き込む河合。

やばい!

引っ越しの時に母さんが飾っていった5人で写ってる家族写真。

バタン!

慌ててフォトフレームを彼女の視線から避けるように閉じた。

「シュン・・・あなたの苗字・・・

道明寺だっていうのは知ってたけど・・・

そう言うことか・・・」

艶やかに微笑んだ表情はパッと華やいでる。

ばれるよな・・・

しっかり父さん派手な顔が映ってるし・・・

僕らの出たCMのスポンサーだったし・・・

今ばれたというのが遅いくらいかもしらない。

「芸能界で自分を売り込もうとしないのが不思議だったんだよね。

人気が出てもうれしそうじゃないし、他人事みたいな態度で興味ない感じで・・・

そこが気になっていて、好きになったんだけどね」

さらりとした告白。

本気度を測るにはあっさり過ぎる。

「つきあってる子いるから、迷惑」

僕としては迷惑だと強度な否定を返した。

ここであやふやにして面倒なことにしたくない。

部屋に招いたのだって現に今後悔し始めてる。

「知ってる。パティーで見たんだから」

鮎川をエスコートして参加したパティー。

忘れるほどの時間は過ぎていない。

「わかってる・・・

それでも忘れられないんだもの。

忘れようとして忘れられなくて、彼女がいるって聞いてもだめで、あきらめようと思ってもあきらめられなくて・・・

いつもあなたのこと思ってる自分がいてどうしようもなくて・・・」

無防備に僕に投げ出された身体は拒むことができずにすっぽりと僕の腕の中に落ち込んだ。

「シュンが、好き」

胸元で響く切実な河合の声。

「河合・・・ごめん」

突き放そうとする腕に思うように力が入らない。

河合の必死な思いの力に負けてしまってる。

「少しの間でいいから」

背中をつかむように回された腕がギュッと服を離れないというように掴まれてしまってる。

それはまるで子供が親を求めるような必死さ。

「河合・・・」

口を開いたら謝ることしかできない気がして・・・

何も言えなくなってしまってる。

軽く河合あしらうには僕のお粗末な恋愛経験は役に立ちそうもない。

こんな時どうするんだ?

河合に抱きしめられたまま僕は河合を抱きしめることもできなくて立ちすくんでる。

だらりと腕を下に力なく下げたまま河合が落ち着くのをバカみたいに待っていた。

拍手コメント返礼

りり 様

情に流されると危ないですよね。

ここで冷たく追い返すことができたらいらぬ誤解は避けられるはずなのですが、それじゃ面白くないのはわかってくれてますよね?

ということで、駿君には頑張ってもらわなくっちゃ~♪

スリーシスターズ 様

やっとジュニアの恋バナも書けました~。

少しはほっと一息ついたところでございます。(笑)

駿君のやさしさがのちのちトラブルにならなきゃいいけど~

なんて思いながらしっかりトラブルの構想を掲げております。(笑)

素敵にジャパネスクやザ・チェンジ 小説も漫画もばっちり楽しんだ世代です。

王朝絵巻。

時は平安、それでも歴史の所説にも引っかからない空想の世界。

光源氏の代わりはF4で~

F4の中なら光源氏は総ちゃんかしら?

頭の中将はあきらくん。

えーと・・・司は・・・

あんな俺様源氏物語に登場してましたっけ?

私のパラレルワールド光源氏は登場しそうもないんですよね。

我儘俺様皇子は一人決定してます。