戯れの恋は愛に揺れる  プロローグ

新作!行きま~す。

最初の始まりを先行公開。

連載を開始するのはもう少し後になると思います。

去年のパラレルの『エーロスは蜜月の溺れる』がなかなかの評判で気をよくしてのパラレルものです。

普段のつかつくとは違ったストーリーをお楽しみください。

とはいっても私の描く物語はこの二人の関係が崩れることはないのでそこは保証。

 

「安心してください!つかつくですよ」

では続きからどうぞ

時代は古代に分類される時の流れの中。

京が都と呼ばれて華やかな絵巻を描いたころ今上帝には一人の姫宮と皇子がおりました。

生まれた時からひときわ輝く光る皇子。

女房が我を争って世話を焼く。

誰も咎めるものはいない宮廷の中で我儘に横柄に成長してしまった皇子を父の帝は眺めながらため息をつくだけのありさま。

「皇子はあのままで人の上にたてるのだろうか・・・」

ため息交じりにつぶやく帝の心配な様をただただ家臣は口を閉ざし見つめるだけでございました。

時は健やかに流れ皇子16の春。

容姿端麗に成長を見せる皇子は子供の頃より輝きを増して人々を魅了しておりました。

ただ・・・気が短く、どこで癇癪を起こすかわからない乱暴な性格に、周りで世話をやくものは戦々恐々過ごしておりました。

「面白くねぇ」

「今は大事な書物を学ぶ時間でございます」

頭を床に擦りつける博士の前に投げ捨てられて書物をちらりと見ながらもうこの時点で皇子の苛立ちは博士を震えあがらせている。

「司様 お願いでございます。もう一刻ほど我慢くださいますように」

低い頭をますます低く博士は床に擦りつけてみせた。

「俺が興味を持てねぇのは自分の教え方が悪いからだとは思わないのか!

自分の能力の低さで俺を教えられると思うなよ」

蛇に睨まれたカエルのように這いつくばる博士を司は恩師とあがめる気にもなれない蔑みの視線を向けた。

「ひっ!」

息を吐けずに吸い込んだ悲鳴を上げながら博士は逃げるように這いつくばって皇子の前からその姿を消していった。

「これで何人目だ?」

逃げ去る博士をかわいそうにと見送りながら下げられた御簾の後ろから出てきた美丈夫。

仕立てのいい萩色の狩衣。

菊花菱の上紋が織り込められた雅な織物は一見して上流貴族の子弟といった風情。

「今年に入って・・・5人目じゃないか」

代々近衛の地位につく美作家の嫡男あきらの問いに、片手の指を折って皇子が追い払った教師の数を数えったのは、西門宮家の親王総二郎。

フッと口角を上げて柔らかく微笑みを浮かべたその顔には品のある魅力を漂わせてる。

「この時間に狩に行こうなんて文が届くからおかしいと思ったんだよね」

最後に御簾の向こうから現れたのは摂政、花沢家の嫡男。

先に姿を現した二人にも見劣りしないその容姿。

日本人には珍しい少し薄い茶色がかった澄んだ瞳で見つめられて気を失って運ばれた女房が入るという話も誠ひそやかに宮廷の噂として流れてる。

この4人がそろうとそれを見たさに彼らが動くと女房のついたてが動くといわれるのもうなずける艶やかさがる。

「あんまり周りに迷惑をかけるなよ」

主と家臣を飛び越えた親しさで皇子にあきらは苦言を呈す。

「お前らが俺に会いに来たって告げればよかったんだよ。

御簾の中に隠れたりするから俺が脅すことになったんじゃねぇか」

「脅してるって自覚はあったんだ」

司の言葉におどけるように総二郎が答える。

「付き合わねぇのか、付き合うのかどっちだ?」

「まさか本気で狩りをする気じゃねぇよな」

皇子が狩に出るとなればそれ相応の準備がいる。

今すぐと行くわけにはいかない。

「追い子がいなきゃ狩ができないってわけじゃねぇだろう。

弓の一本でもあれば十分だ」

そうじゃなくそれ相応の警備が必要なんだぞと

不安を感じながら3人は目を合わせる。

「行くぞ」

直ぐに厩に向かって連れ出されて栗毛の馬にまたがった司を仕方なく3人は追った。

「あいつら、どこ行った?」

狩の獲物はキジが一羽。

その獲物を鞍に結び付けたまま山中の中をどのくらい走り回ったのか。

宮廷のある方向も定かではくなってる。

どこにいるか分からないのはこの俺か・・・

自嘲気味に馬上の司は笑いを漏らす。

「うっ」

一瞬気を許した瞬間に木の枝を強く頬に感じてドンと地上に落馬して司は気を失った。

だらしねぇ・・・

そうつぶやく自分の声が遠くで聞こえた気がした。

人里はなれた山間の郷。

山間の道を急ぐ足取りを止めるように突然吹いた一陣の風が市女笠から垂れ下がる垂れ衣をひらめかせた。

「きゃー」

つくしは笠ぼと風に身体が飛ばされるような気がして笠を押さえながら小さく悲鳴を上げた。

「山の陽が沈むのははようございます。

道を急ぎましょう」

あたりはつがいの山鳥がさえずり、つくと女房の二人と荷物を持って付き従う舎人が一人の道行きである。

「あっ」

「つくし様、いかがなさいましたか?」

歩きだそうとしたつくしの足が止まったのを見とがめるように女房が声をかける。

「あそこにいるの馬よね・・・」

馬がいれば誰か人がいるはずとつくしはあたりに視線を走らせる。

「きゃー」

悲鳴を上げたつくしに抱き付いた女房が馬からそうはなれていないところを指で刺しながら震えてる。

「人が死んでます!」

「ただ、倒れてるだけかも」

震える女房の声につくしは答えながら地上に倒れこんでる人にゆっくりと近づいた。

今のつくしには恐怖より命があれば助けなきゃいけないの使命感のほうが上回っている行動に現れてる。

「大丈夫みたい。息してる」

仰向けに倒れてる男の唇の近くに手を当てて確認したつくしは舎人に手伝わせて馬上に男を乗せると一緒に歩きだした。

「つくし様大丈夫ですか?見ず知らずのものを連れてかえるだなんて」

「あのまま、ほっとけないわよ。それに来てるものは上等なものだから身分の低い人じゃないと思うから」

本当に・・・大丈夫かしら・・・

不安な面持ちでつくしを眺めながらもつくしに人懐こい笑顔でそう言われると何も言えずに女房は従うしかなかった。

拍手コメント返礼

スリーシスターズ 様

喜んでいただいてうれしいです。

王朝絵巻?発信させました。

最初から直ぐに司とつくしちゃんのご対面!

それはどうかなぁ~なんて策は弄しておりません。(笑)

いや~実は助けたのは別な人のパターンも考えてるんです。 ← こっそりでもなく暴露しちゃったよ~。

気分で更新する時点で変わる可能性はあるやもしれません。

それともまた司を記憶喪失にさせてしまうとか?

今回は自分の身分を忘れてつくしにこき使われる側になってしまうみたいな?

まだいろいろ模索中です。

今の時点でどう進むかは私にもわからないのです。

決まったら更新開始です。

公演時間までもうしばらくお待ちくださいね。

歩くみかん箱 様

きゃ~私も氷室冴子先生のジャパネスクや、 ざっちぇんじで楽しみました。

もちろんあさきゆめみしも♪

文章を読みやすいとおほめいいただき光栄です。

平安朝時代のものや言葉など勉強不足なところはありますが楽しくお付き合いさせていただければ嬉しいです。