Happy Valentine (2016)
誕生日が終わったと思ったらバレンタイン。
このお話は 『愛を叫べ』 の続きでパリから帰ってすぐのつかつくバージョンを想定して書き上げてます。
それでが続きからどうぞ
*もう道明寺には負ける・・・。
あいつの体力につきあうためには自分の体力もつけなきゃ無理だ。
筋トレに持久力強化。
屋敷の一室にあるトレーニングルームで一人こっそりと励むこと一週間。
「ここにいたのか」
ほかにすることあるんじゃねぇの?
そんな考えが読み取れる道明寺が私に近づいてくる。
私に差し出してくれたタオルを遠慮なく受け取った。
タオルも値段がいいとこうも肌ざわりがいいものだろうか。
決して汗を拭くだけがタオルの役目じゃないと実感してしまう。
椅子に座って汗を拭く私を立たせるように道明寺の腕がわたしの身体を引っ張り上げた。
おっ!
ふらつく身体に声を上げそうになった私の腰を道明寺の腕が支えてくれる。
腰に回された腕に完全に身体を預けてしまったのは決してトレーニングだけのせいじゃない。
今朝までの甘い行為の為に足腰ががくがくなんだもの。
当然道明寺も疲れていていいはずなのに余裕の表情で今私を助け起こしてる。
鍛え方が違うというより人間のつくりじゃないような気がしてきた。
時計の針が12時を過ぎて日付が変わった途端に「バレンタインだよな」って請求されたのはチョコレートより甘いキス。
私からキスしろとか。
俺をお前から求めろとか。
バレンタインだから甘い告白を聞きたいとか・・・
仕事で行ったはずのフランスで愛を叫んでから、要求多すぎッ。
今朝までの媚態が私の腰を抱いて密着する肌から思い起こさせる。
「バレンタインだよな?」
「だから、それは今朝まで・・・」
期待してる子供みたいな澄んだ瞳が私の唇を閉ざした。
チョコもいるんだ・・・。
準備はしてたけど渡し損ねたのは疲労困憊でベッドの中で二度寝しちゃったから。
眼覚めたら道明寺はいなくなっていたんだもの。
仕事じゃ無かったの?
「部屋にあるから・・・」
私の後をいそいそとついてくる道明寺がなんとなく可愛く思える。
まるでそれは親カモの後ろを付いて回る子カモのよう。
今朝までの意地悪で私を煽る道明寺とはえらい違いだ。
「お前の汗・・・」
部屋に入ったとたん背中から抱きすくめられてうなじをぺろりと道明寺の舌が這う。
もうッ。
抱きすくめられた身体を道明寺の熱が包みこんでくる。
溺愛の埋まる部屋、そこから逃げだす扉はすでに閉まる寸前。
朝からくたくたの身体でトレーニングを頑張ってたんだから、これ以上疲れさせないでッ!
「シャワー・・・じゃなく、チョコ!」
浴びさせてよといいたいところを途中でぶっちぎった。
言ったら一緒にいるという流れになりそうだもの。
今回のバレンタインのチョコは手作りじゃなくて有名な高級チョコレート店で並んで買った。
まぁ、自分が食べたかったって言うのもあるんだけど・・・
これまでに私が道明寺に贈った手作りのチョコレート。
一つつまんで食べたあとはもったいないと道明寺はふたをする。
私の贈ったバレンタインのチョコを展示してる棚を作らせて飾る意味がわからない。
「これ食えるかな?」
初めて贈った道明寺の顔に似せて作ったクッキーチョコを眺めていた時はさすがに血の気が引いた。
さすがの道明寺でもおなか壊すよ!
お店のチョコなら道明寺も取っておこうと思わないよね。
「はいバレンタインのチョコ」
さしだした私の顔とチョコを交互に道明寺が見つめる。
そして受け取ったチョコを道明寺が放り投げるのが見えた。
宙を描いて飛んだチョコレートの箱はポンとベッドの上に落ちる。
「手作りじゃないぶんは愛の告白で補ってもらおうか?」
手作りじゃなきゃダメなの・・・?
ぎゃーっここでも愛を叫ばせるつもりか!
どれだけパリでのデートが楽しかったのよッ!
ベットの上に追い込まれた私を押しつぶすように道明寺の身体が乗っかった。
だから・・・もう・・・
今日は疲労困憊なんだってば!
最悪のバレンタインになりそう。
拍手コメント返礼
りり様
司にとってはお金で買えないものがいっぱい詰まってるつくしちゃん♪
いつまでも手作りがいいんですよね。
そして手作りは自分以外には渡さないのだ!
歩くみかん箱 様
司君の体力に追いつこうと鍛えるなんて普通考えないですよね。
でもつくしちゃんだったら鍛えるかも!と思ったのがこのお話の発端です。
笑えるけど健全なの~(笑)
俺様チョコレートコレクション!
100年は貯蔵可能な冷蔵保管庫をいったいいくらかけて司君は作らせたのか!
このお話でも一遍作れそうなんです。
後世にチョコはゴミとして捨てられそうですけどね。
スリーシスターズ 様
予約投稿のつもりが公開してる気が付いたのは数時間後でした。(;^ω^)
もっと甘く仕上げたかったなぁ~
我が家でも昨日はバレンタインのチョコを娘が作ってました。
男の子に上げるのではなく仲の良い友達同士で交換するようです。
担任の先生に上げるかどうか悩んでましたが、そこは悩むなら好きな男の子だと思うのですが、まだ恋には疎いようです。