霧の中に落ちる月の滴 9

このお話を集中して書きたくて連載を減らそうと頑張って完結しようと二つのお話を書き上げたのに・・・

連載が減ってない・・・

なぜ~~~~~~っ!?

それは私がリクエストに弱いから~~~~

この優柔不断な性格は何とかならないものでしょうか?

日々反省。

連載2個ぐらいにするように頑張ろう・・・(;^ω^)

 *

「花沢類!」

霧がかかって視点がぼやける。

俺の名前を指名で呼ぶのはあんたしかいないよね?

「私だよ、わかる?」

「気が付いた?」

視点が定まって牧野が心配そうに俺を覗き込んでいるのが見えた。

「牧野・・・・?」

少し関節を動かしただけでも感じる痛み。

ずっと動かすことを忘れていたようなぎこちなさが身体に残るのがわかる。

「よかった、心配したんだよ」

ふわっと息が漏れた牧野の唇が震えてるのがわかる。

見覚えのない白い天井の無機質な部屋。

自分の腕からつながる管を視線が上にたどって、それが点滴だとわかるまではそんなに時間がかからなかった。

どうして自分がベッドの上に寝ていて治療を受けてるのかその記憶だけがよみがえらない。

今、目の前にいる牧野の姿も病人そのもの。

いつもの健康美満載の牧野の熱気は半減してる気がした。

牧野が倒れたって聞いて病院に駆けつけたはずの俺がベットに寝てる理由が途切れてる。

思いだそうとしても頭の中はそこだけ切り取られたとような暗闇が広がってる。

一晩過ぎた後もその闇が光を取り戻しそうにはなかった。

「また来るね」

そう言い残して部屋を出ていった牧野は何かやりきれない表情を浮かべて俺を見てた。

その意味を模索する俺は落ち着けない時間の中に迷い込んでるしまっていた。

一緒に乗った車で牧野と事故にあったと説明されても、どうして牧野と一緒にいたのかの記憶がない。

司のことで悩んで落ち込んで、一人で耐えてる牧野をそばで支えたいと芽生えた感情。

静とはまた違った愛情。

本気で守りたいって思ったのは牧野が初めてだった。

司が牧野に心を残してるのも理解してる。

それでもあいつは別な女と婚約を決めた。

あいつに遠慮なんて必要ないはずなのに、牧野が道明寺とつぶやくたびにやるせいない。

牧野のもまた司に心が残ってるってわかるから。

それでも好きだって告白してもいいかな?

俺はずっと牧野を待ってることができるって自信はあるから。

目が覚めてから気が付けば病室のドアが開くのを期待してる。

「牧野・・・来てくれたんだ」

自然と唇がほころぶのが自分でもわかる。

「無理しないで」

起き上ろうとした身体はまだ自分では支えきれないほど貧弱。

慌てて俺のそばに飛んできた牧野に助けられながら頭を枕に沈めた。

「まだ自分の身体じゃないみたいだ」

情けないくらいの病人のまま。

牧野に助けられるのもかっこ悪い。

自分が他人にどう思われようと関係ないのに牧野にだけは弱いとこ見せたくないプライドだけはあるみたい。

「当たり前でしょう。

数日寝たきりだったんだから」

本気で怒ってる口調に牧野の俺を思う気持ちを感じてまた笑う自分がいる。

牧野がいると俺はいつも笑っていられる気がするよ。

「だから無理しない」

「牧野は?牧野のほうこそ無理してんじゃないの?」

「花沢類がかばってくれたおかげで、花沢類よりは軽い怪我ですんでるから」

「だったら俺は牧野を守れたんだと思っていいのかな?」

「うん。思いきり恩にきせてくれてもいいから」

屈託なく笑う牧野に癒される心。

俺はきっと牧野のそんな表情をいつまでも見ていたいんだと思う。

総二郎やあきらの話題に何気なくながれた。

あいつらに話題を振れば必然と司の話題も出てくるのはしょうがない。

「司とは会ったの?」

「うん・・・」

答えにくそうな牧野の声。

「牧野は司に会って大丈夫だった?

あいつどんなつもりで牧野に会いに来たのかな?」

司と牧野を会わせたくない本音は牧野を思いやるより俺の嫉妬の言葉かもしれない。

「花沢類・・・」

「俺、牧野をなにか悩ませているのかな?」

不安そうな、何か言いにくそうな牧野の喉元がごくりと上下するのが見えた。

「あのね・・・

私・・・

高校を卒業して・・・

今、英徳大学の法学部に通ってるよ。

バイトの疲労で倒れた時から2年は経ってる」

それって・・・

俺の記憶だけなくなってるってこと・・・?

記憶喪失ってやつ?

「今度の事故で花沢類の記憶がそこから途切れちゃってるみたいなの」

「ばかげてる」

それでもそれが本当だとすれば面会に来た総二郎やあきらのよそよそしい態度も説明が付く。

二年も経てば牧野も司のことを吹っ切れて会うこともできるようになったのだろうか?

「よっ、類ッ調子はどうだ」

がらりとドアが開いて姿を見せたのは総二郎とあきら。

「なぁ、俺って二年分の記憶なくなってるの?」

見合わせた二人のまじめな表情が牧野の言い分が本当だと俺に告げていた。

拍手コメント返礼

ゆみん 様

パニックになりそうな展開でも冷静な類。

「そうか」と軽く納得してしまいそうな気がするのです。

でも内心は心は穏やかじゃないとか?

類につくしをささげたくなる!?

司にはできない相談だな。

スリーシスターズ 様

二月これが最初の更新でした。

どれだけほっといたのか・・・(;^ω^)

私もどこまで進めたかわからなくなってましたもの~

これ以外はハッピーパターンで行きますので切なさはますます倍増しちゃうかもしれません。

書くときの心の切り替えが大変なのです。

おっと~舞ちゃんのお話も滞っていたんでした・・・。