霧の中に落ちる月の滴 15

え?

狙われたのは類!?

私が驚いてどうする。

その理由はなんだ~

司だったら『恨み』なんだけどなぁ~

類の場合は好きになった女性が完璧に無視されて愛が憎しみに変わったパターンなんて

ありきたりのものじゃ面白くないと思っています。

 *

「早かったな」

さっきまで私が寝ていたベッドに腰かけてる道明寺が私を見上げる。

その表情は今までの俺様的な威圧感はなく予想に反したって表情。

「だってここ私の病室だし・・・」

疲れてるように見えた花沢類を送り届けただけ。

そのあとは後は俺たちがって感じの西門さんと美作に任せてきた。

「俺が言ってるのはそんなことじゃない。

類がよくお前を帰したってこと」

道明寺が私の病室に残ってるのに花沢類と二人で過ごせるわけがない。

道明寺にへんな嫉妬を持たれたくないから。

そんな私の気持ちなんてちっとも気づいてくれていない。

「あのね。私もまだ本調子じゃないんだから」

言葉の途中で私の身体がぐらりと動いて道明寺に引き寄せられる。

道明寺の右手に掴まれた右腕はそのまま私を道明寺の胸元に落としこんだ。

胸元から上げた顔を見下す道明寺の瞳が私を捉える。

その瞳に映りこんでる自分がドキッとしてるのが見えた。

クスッと目じりを下げた道明寺。

子供ポイ笑顔。

久しぶりに見たんだけど。

「お前、うまく座ったよな」

グイッて道明寺の腕を感じたのは私の腰回り。

道明寺の膝の上に座りこんだ私の身体は道明寺の腕の動きでますますしっかりと道明寺の膝の上に居座ってる。

「牧野・・・」

そのまま道明寺の両腕が私を抱きしめた。

その動きで道明寺の胸元に押し付けられた耳元。

ドクン、ドクンと聞こえる道明寺の鼓動の音が私のすべての聴覚を支配してる。

鼻腔に感じる道明寺の汗の匂いが嗅覚を刺激する。

頭の上に感じる道明寺の手のひらがしっかりと私を押さえこむ。

何度も牧野と呼ぶ声が髪の毛を揺らした。

「どうかした?」

「今は・・・まだわからない」

道明寺のわからないっていう言葉を鵜のみにできる様子じゃない。

道明寺が何か考え込んでる感じが伝わってくる。

「お前が、心配する必要はないから」

ほら、やっぱり、なにかあったでしょう。

それはきっと今回の時間に関すること。

任せっきりで病院のベットに寝てるったことはできるはずない。

この頑固者は私が聞いても素直に教えてくれるとは思えない。

なんの相談もなく勝手に事を進めて、勝手に決めて、私の考えなんて聞く気もない横暴さは天下一品の俺様。

事故に合う前もそれが原因で喧嘩したの覚えてる?

道明寺の押さえつけた手のひらに反抗するように頭を持ちあげた。

目が合ったその瞬間に道明寺の手のひらの温もりを頬に感じた。

少し首を横に傾けて長いまつげが動いて目を伏せる。

寄せてきた唇から逃げるように顔をそらした。

「ダメっ」

私の両手が道明寺の顔を押さえつける。

目が左に、唇は左右にずれて崩れた顔がつぶやいた。

「てふぇっ」

たぶんてめぇだよね?

「何も教えてくれない間は何もさせないから」

私の言葉にスクッと立ち上がった道明寺。

崩れた身体はベッドの上に転がるように腰をおとした。

「病人に手を出すつもりはねぇから。

事が片付くまではおとなしくしてろ」

そのまま私を、見ようとはせずに背中を向けたままの道明寺。

部屋を出ていこうとする道明寺の背中は見せたこともないほどの拒絶感を漂わせている。

テーブルの上のいくつもの写真を無造作につかんでジャケットのポケットに突っ込んで無言のまま道明寺は病室を出ていった。

拍手コメント返礼

りり様

カギを握るのは誰?

類が狙われてそれに巻き込まれたつくし。

そして何かを感じ取る司。

今の段階ではここまでですからね。

この後の展開は司が大活躍するのかな?

スリーシスターズ 様

司と類の間を総ちゃんとあきらくんがうまくコントロールしてますよね。

実はこの二人いい働きをしてるんです。

気が付いてもらえてよかった(笑)

ドラマ私も見ましたよ。

最近の楽しみはドラマの中に組みこまれてるダジャレに小粋な小ネタの

遊び心。

ドラマの内容を見失うくらい探し回ってます。

事件現場のビルの壁に貼られら紙を必死で読んだのは私だけじゃないはずだと思ってます。

「屋根に苦情 喫煙所炎上」

その他もろもろ。

来週も楽しみだ~

koko 様

ドキドキしていただきうれしいな。

このドキドキ感を継続しつつ話をテンポよく進めたいと思っています。

kachi様

今回はつくしより司のほうがリードしてる感じでしょうか。

二人の喧嘩・・・

大したことなかったりして~

それとも事件の伏せんになってるとか?