戯れの恋は愛に揺れる  6

つくし姫の興味も類の君から司皇子に移ったかな?

つくし姫、司の正体を知らない設定になってます。

どこかのボンボンとは思ってる程度でしょうか。

宮に帰る皇子と隠遁生活のつくし姫の恋物語はここからが本番です。

本番って!

あの本番まではしばしお待ちを~。

着物シュルシュルを書いのはもうずいぶん前だったな・・・(;^ω^)

「薬草、持ってきたから」

格子窓から差し込む月の光が柔らかくつくしを映しだす。

清らかに淡く映しだされるその姿のまぶしさに司は慌てて視線をそらした。

「俺は薬師の調合した薬じゃねぇと使わない」

「こんな寂れた山奥に薬師がいるわけないでしょう。

手当てをしないよりましだから、黙って腕を見せて」

司が腕を差し出す前に司の前に座りこんだつくしは強引に司の袖をまくり上げた。

「俺に遠慮なしに命令するのお前くらいなものだな」

「これでも十分お客様として扱ってるつもりです」

出会った時から反論するような容赦ない言葉。

傅かれることにしか慣れてなかった司にはつくしの媚びない態度が嫌などころか好ましく映る。

つくしは視線を腕から離すことになく黙々と手を動かしている。

傷口を洗い流す薬草の液が傷に沁みて、その痛みに司は顔をしかめた。

「痛い」

覗き込んで司を見上げるつくしの大きな瞳は遠慮なく司を見つめる。

不安そうに揺れる表情の愛らしさにごくりと司の喉が上下して音を鳴らした。

「大丈夫だ」

司の言葉に安心したようにつくしは傷の手当てを進める。

傷口を乾かすように唇から吹かれた息が腕にかかる。

感じていたはずの痛みはとうに薄れ別なざわつきが司の傷口から胸元まで入り込んで心を揺さぶる。

「早く治ると言いけど・・・」

胸元に落ち込んできそうに距離でつぶやくつくしを気が付けば司の右腕が抱きよせていた。

身体を硬直させたままそのまま固まるつくし。

広く、固い胸元で心臓の打つ音がつくしの耳元で大きく聞こえる。

どう反応して良いものかわからないうちに司の腕の力が強まって気が付けば両腕の中に閉じ込められ、身体をすべて司に預ける形となってしまっていた。

「迎えに来る」

「え?」

首を動かすのもいつもの数倍の労。

聞こえないというように司を見上げたその瞳は言葉の意味を理解してない表情で見つめてる。

「いいか、俺が迎えに来るまでどこにも行くな。

待ってろ」

ますます理由がわからないと混乱する表情が司を眺める。

つくしのその疎さが愛しくもあり歯がゆくもありその相反する感情が司を性急に行動させた。

「約束だ」

つぶやく声はそのままつくしの唇と重なった。

あまりな急な口づけにつくしは目を閉じることもできず瞬きするのも忘れてしまっていた。

無意識に喉をのけぞらせるとしっとりと柔らかく感じた唇が薄い皮膚を這って首筋に吸い付く。

「なに・・・?あっ・・・」

逃げようとする腰を強い力が逃がさないと引き寄せる。

初めはくすぐったく感じた司の唇が次第に強く首筋を吸われつくしは目を開けてられないくなる。

ジンジンと感じる熱が首筋から流れるように全身に広がる。

痛みに似た感覚が収束して力なく司の胸元を押さえていた指先がすがるように司の襟元を掴んだ。

やめてほしいと思う気持ちとは裏腹に唇が震える。

離れていく唇の感覚とともにゆるゆるとつくし瞳を開く。

その先で司が小さく微笑むのが見えた。

「すぐには無理だと思っていたがこの痕が消えるまでには必ずお前を迎えに来る。

その時お前のすべては俺のものだから、おとなしく待ってろ。

山の中に行くのもだめだからな」

一方的な宣言に普段のつくしならいきり立ってその場を飛びだしそうなものだが今のつくしには立ち上がる力さえ残ってない。

「聞いてるのか?」

「うん・・・」

それだけ言うのが精いっぱいで力の抜けたまま縋り付くくように司に身体を預けてしまったままだ。

「刺激が強すぎたか?」

耳元をかすめる司の声が夢のようにつくしには聞こえていた。

司たちが屋敷を出てから三日が過ぎた。

屋敷から一歩も出ず過ごすつくしにさすがに小鈴もおかしいと思い始めている。

庭に来る小鳥を眺めながらつくため息の回数は日ごとに増えてる気がする。

姫様もそろそろ都が恋しくなられたのかしら?

まさかへんな病にでも・・・

自分が近づいたことにも気が付いてないつくしの額に小鈴は自分の手のひらを当てた。

「何?」

「熱はないみたいですね」

自分の体温とつくしの体温をまじめに比べる小鈴に小さくつくしが笑みをこぼす。

「大丈夫よ」

そう言ったつくしの頬はほんのりと赤い。

司との間にあった出来事もいわれたことも小鈴にはまだはなしてないのだ。

小鳥のさえずりが止まって聞こえてきたひずめの音。

それは確実にこの屋敷に近づいている。

「誰か来たみたいですね」

そそくさと立って出ていく小鈴を見送りながらつくしの腰もうきあがって心臓がドクンと跳ね上がって行くのを感じる。

ここで慌てて出ていったらまるで待っていたみたいに思われる。

そう思いながらつくしは襟で隠れた消えかけた紅い痕がキュンと痛む気がして無意識に指先で触れてしまった。

拍手コメント返礼

スリーシスターズ 様

おっしゃる通りクスリの場面はエレベーターに閉じ込められたときの一コマと合わせて書きました。

すぐにピンと気が付いてもらえるから楽しいですね。

今回はどんどんと早めの展開でいきます。

いつものように引っ張らずにサクサクとすすめるつもりです。

99.9録画で見なきゃ見逃してるところたくさんありますよね。

来週が待ち遠しいですよ。