戯れの恋は愛に揺れる  22

いよいよお☆様まじか?

そういきたいところでですが今しばらくお待ちください。

湯船のお湯がチャポンと音を立てる。

その音はつくしの寂しさを声に出したような錯覚を感じさせる。

ため息で揺れる水面。

映りこむつくしの顔がわずかに揺れる。

「湯加減は?」

小鈴が湯船に沸いたお湯をそっと注ぎこむ。

紐を通して袖をまくり上げてる小鈴にどちらかというと子間使いでちょこまかと働いてい時のほうが楽だったとつくしはまた小さく息をついた。

「帰ったら、ダメかな?」

「もう、出ますか?」

まだお湯に使ったばかりだと諭すように小鈴はつくしを見つめる。

「違うわよ、お風呂じゃなくて・・・その・・・

宮殿から出て家に帰りたいというか・・・」

「お妃教育も大変ですものね。

それでも姫様は覚えがいいと皆が申してますよ」

自信たっぷりな表情を小鈴は見せる。

自分を励まそうとしてる小鈴にそうじゃないと言いかけたつくしは開きかけた唇を閉じた。

「そう言えば、最近皇子様はお見えにならないですね。

忙しんでしょうけど」

確かに婚礼の準備と東宮に立つための儀式などで忙しそうにしてる様子はつくしの耳にも聞こえてくる。

だからってちょっとしたあいさつの時間くらい作れるはずだとつくしは思っている。

自分から司に会いに行けないかた苦しいは宮廷ならではのしがらみが災いしてる。

だからこそ司に自分を気にかけてる姿勢をつくしは見せてほしいのだ。

東宮が現東宮じゃなく次期東宮の司皇子だと気が付くまでどれだけ心を痛めたろう。

そのまま宮廷に住まいを与えられたのは一緒にいたいと思う司の心なのだとつくしはうれしかった。

それなのにあれから一向に自分のところに姿を見せない司はナント薄情なのだろうとつくしは思い始めている。

「私が帰ったら騒ぎになるかな?」

「騒ぎになる前に俺が騒ぐ」

声が聞こえる前に小鈴は顔色を変えて湯殿の床に這いつくばるように頭を下げていた。

聞き覚えのある声につくしは湯船から立ちあがって身体を声の方向に向ける。

濡れた白い小袖ではつくしの肌にはりつくようにその華奢な姿を浮かび上がらせる。

黒い茂みの存在を浮かび上がらせるその姿に司は視線を外すことができなかった。

裸体を直に見るよりも悩ましく司の喉元はごくりと音を鳴らした。

その異変に気が付いつくしは胸元を両腕で覆いながら素早く湯船の中に身体を鎮める。

司が凝視ていたはずの身体が湯船の湯よりも熱くたぎってつくしの肌を赤く染め抜いた。

「濡れます」

「かまわない」

湯船からあふれ出たお湯はそのまま司の足元に波を作る。

焦った小鈴を制する司の声は静かに湯殿に響いた。

「脱げば問題ない」

驚く小鈴をしり目に司は直衣を脱ぎ紐をほどく。

顔を伏せたまま慌てたように小鈴が湯殿を出ていくのをつくしは声も出せずに見送ってしまった。

パシャリ

水はじくように床に投げ出された衣類。

積み上がる服をただ黙ってつくしは眺めてる。

すでにつくしの許容範囲を超えてしまった司の行動にどうすればいいのか全く頭が働いてくれない。

一糸まとわぬ姿で司は戸惑うことなく湯船に飛び込んできた。

ザブンと聞こえた音は大げさすぎるほど飛沫を上げて水面も揺らす。

顔にかかったお湯を必死で顔から拭き上げながら閉じた瞼を開けた瞬間目の前に司がいるのがわかった。

「部屋で待っていたもらえればすぐに湯あみを終えていきます」

たどたどしくつぶやく声。

「会いに来ないと拗ねたから来てやったんだろう?」

「拗ねてなんかいません」

「拗ねたから宮廷から出るとか言ってるんじゃないのか?」

覗き込んでくる司の瞳が熱を持って自分を眺めてるのがわかる。

咎めるというにはあまりにも司の声は甘くつくしの耳元をかすめる。

「私のことなど、すっかり忘れてると思いました」

どれほど悪態をついても今の司にはつくしが甘えているようにしか思ずクスリと頬が緩む。

「忘れるものか、

会うと抑えられなくなると思って我慢してたんだぞ」

向きあったままの司の腕が動いてそっとつくしの頬を包みこむ。

つくしの肌がピクリと動いて身体の筋肉が硬くなるのを司が感じ取る。

「俺が触れるとピクッとなった身体が硬くなるから俺が怖いんじゃないかとか考えて、俺は何もできなくなる」

瞳を大きく見開いた驚くように表情が司を見つめた。

「それは・・・」

「それは?」

「怖いんじゃなくて・・・」

「怖いんじゃなくて?」

つくしの言葉を反芻するように司がつぶやく。

「心臓が落ち着かなくなって・・・

もっと触れてほしいとか・・・

触れたいとか・・・」

もうこれ以上何も言えないとつくしは頭を垂れる。

「俺もお前に触れたいし触れてほしい」

つくしの手を導くように司の腕が動いて自分の左胸につくしの手のひらを置く。

ドクンと手のひらに感じる鼓動はつくしのそれよりも大きく激しく動いてる気がした。

拍手コメント返礼

スリーシスターズ 様

おはようございます。

台風の影響はありませんでしたか?

九州素通りも珍しいんですよね。

こちらは炎天下が続いております。

つくしちゃん今回は素直なの~

なにか仕掛けがあるとか?

つかさくん煽られてますがどうなることか。

いよいよ夏休みも終わりますね。

夏休み最後の課外で午前中は一人にようやくなれました。

こそっと更新予定。

>「霧の中~」「戯れの恋~」ときたから、次は「0.1%」?それとも舞ちゃんたち? 駿くんも久々に会いたいですね!

どれにしましょう♪

駿君の新作はただいま準備中ですので9月中にはお届けしたいと思っています。

yumi 様

司皇子が全部脱ぎたくなる気持ちわかりますけどね。

いきなり裸を見せたつくしちゃんには刺激が強いかと思うんですが・・・

このまま行けるのか!