ジェラシーを情熱に変えて 2

雪山遭難。

ドラマのイメージ。

つくしの危機を知ってスノーモービルに飛び乗る司。

その前の椅子?ソファー?を飛び越えて走りだす司がかっこよかったな

しかしあのシーン吹雪きすぎですよね。

雪に雨にたくさん降られたシーンが心の残ってるドラマだったな・・・

さぁ、今回のこの物語、つくしの危機を知った坊ちゃんどれだけかっこよく飛びだしたのでしょうか?

そのお話は最後の方になる予定です。

 *

「冷たい・・・」

暖たかい温もりの中で目覚めた。

少し目を上に向ければ見慣れた顎のライン。

それだけで道明寺てわかるほど私たちは密着した時間を過ごしてる。

以前なら道明寺のくるりとしたくせ毛まで確認してたもの。

まつげに触れた道明寺の唇の冷たさにピクリとふるえる。

温もりの中から伸ばした指先は冷え切った道明寺の頬の冷たさを感じ取って、ごめんねとありがとうの言葉が交互に重なる。

私を抱く腕の重さが心地よくしょうがない。

少し毛布からでた肩を中に入りこむようにすぼめて道明寺の胸元にもう一度滑りこませる。

ドクンと規則的に響く心音。

スースーと聞こえる寝息に道明寺はまだ起きそうもないと感じてる。

少しでも身体の密着が離れれば道明寺に寒さを感じさせそうで動けない。

もう一度毛布から伸ばした手のひらはそっと冷たい頬を包みこんだ。

生え始めたひげのチクチク感がくすぐったい。

きっとこんな道明寺の肌の感触を知ってるのは私だけだよね。

こんな道明寺を知るのは一緒に夜を過ごしてるからだって思うから。

私だけだよね?

もう、それなのに、どうしてあんなバカなことしちゃったんだろう。

道明寺の気持ちは私だけに向けられてるってわかってるはずなのに。

時々無性に腹立たしく思う時がある。

イラッついた感情は自分じゃコントロールできなくて冷静さを失う。

喧嘩腰の声で噛みつく私に道明寺の不機嫌な表情。

少し落ち着いて冷静になればこんな雪の中に閉じ込めらることはなかったはずだよね。

少し温もりが戻ってきた頬。

離れようと動いた指先を絡めとる指先。

グッと握思められた指はそのまま道明寺の手のひらの中で束を作る。

「起きるの遅せぇよ」

絡めとられた指先を自分の首の後ろに抱き付けと言わんばかりに持っていかれてしまった。

起きたばかりとは思えない道明寺の瞳の輝きが目の前に迫る。

「道明寺のほうがまだ寝ていたんじゃないの?」

コツンと重なる額。

その額の冷たさに「ひゃー」と悲鳴に似た声を上げてしまった。

「安心しすぎだろ、

この俺様が隣にいるのにドキッともせずにすぐ、いびきかいて寝るやつがあるか」

「そうは、言われても体力使い果たしてたし・・・」

道明寺がそばにいてドキッとしないわけがない。

道明寺が私を見つけてくれた時は自分から抱き付いてしまっていた。

幻と思ったんだからね。

死んじゃう前に神様が見せてくれた贈り物。

もう死ぬのかななんてあきらめかけた私の前に現れた天使。

神々しく見えたのはその一瞬、直ぐ様「この、バカッ!」の怒鳴り声が私を覆った。

神様の配下にいた、最高の天使。

自らの力を過信し、傲慢な振る舞いをしたため神様によって天上から追放され、悪魔になったルシファー。

そんなルシファーが似合うやつ。

やさしさのかけらもない態度なのに、私を包み込む腕は、熱くて、温かくて、道明寺がどれだけ必死に私を探してくれたのかわかる。

「牧野」って私を呼ぶ声に感じる愛。

「体力も回復したろう?」

卑猥に感じる空気。

道明寺の指が慣れた手つきで私の体の上を這いだしてる。

「体力は、ホテルに帰つくまで温存したほうがいと思う」

昨日の昼から何も食べてないんだから。

そう思いだした瞬間にぐるっとなりだしたお腹。

「色気より食い気か」

笑みを浮かべながら道明寺の指先は私の肌から離れることなく腹部に移っただけ。

「ホテルにはすぐ帰れそうだから心配するな」

「え?」

「ここ、ホテルのすぐ裏にある一戸建てのコテージタイプ」

朝日の差し込む窓の外は吹雪も止んで青空をのぞかせる。

その先に私たちのいたパーティー会場のホテルが見えた。

「10分もせずに帰れる」

私の身体に道明寺の身体が覆いかぶさった。

 

拍手コメント返礼

りり 様

次回からいよいよ時間が巻き戻っていきます。

つくしの嫉妬のあらましがわかってくるかな?