クリスマスなんて大嫌い2 (2016年度)
メリークリスマス♪
皆さまクリスマスイブいかがお過ごしでしょうか?
久々の3連休の間のクリスマスですね。
我が家は何もないのよね・・・(;^ω^)
さて今年のつかつくのクリスマスはいかに?
司君誰にも邪魔させないつもりで張り切ってつくしちゃんとの待ち合わせの場所に向かってますが、
何も起こらずたまには甘いクリスマスを楽しんでもらいたいものです。
*クリスマスの飾りに彩られた木々。
チカチカと点滅を繰り返すトナカイのソリの上にはこれまたチカチカと点滅を繰り返すサンタクロース。
流れる音楽もクリスマスソング。
誰かを待っているのは私だけじゃない。
彼氏を見つけて駆けだす彼女を何組か見送った。
手袋をしていてもさすがに指先は冷たい。
手袋ごしに吹きかけた息は白く直ぐに冷えて湿り気を感じる。
道明寺・・・
遅いな・・・
今日も仕事だッて言っていたからしょうがない。
この日の時間を作るために頑張って仕事をしていたって理解できるから。
私との電話で寝落ちしちゃった道明寺は初めて。
私ばかり話していて「あ」とか「うん」とかしか返ってこなくて・・・
クリスマスのデートの約束を私から取り付けた後は、眠たそうな声が聞こえてきた。
ウトウトしてる道明寺が必死に眠気と戦ってるのが想像できた。
それがなんとなく可愛いって思ってたよ。
寝息が聞こえてからもしばらくはその寝息を聞いてスマホを握りしめたまま寝っちゃった道明寺を想像していた。
道明寺の歩いてくるであろう方向を眺めがらちょっと人ごみから飛びだすはずのくるっくるの頭を探してる。
背の高い道明寺は待ち合わせの時は便利。
あっ来た!
きょろきょろと私を探して立ち止まり、そして数歩歩く。
吐きだす白い息は道明寺が走ってきたのを示すように荒い。
何かを見つけたように道明寺の視線が1点を見つめて固まった。
私・・・ここだけど・・・
整った横顔はイルミネーションよりも艶やか。
目を奪われてる・・・
そんな雰囲気の道明寺。
何を見てる?
道明寺の横顔から視線をたどって首を伸ばす。
道明寺が見つめているのは女性?
モデルのような長身の華奢な容姿。
普通の子とは違う目立つオーラ。
一人じゃなく彼氏もいるんだけど・・・
知り合い?
そんな雰囲気じゃない。
失礼しちゃうよ。
私との待ち合わせのことなんて頭から抜け落ちたような表情の道明寺。
寝落ちしちゃった道明寺を可愛いと思った自分がバカに思える。
大体デートの前にほかの女性にうつつを抜かすってどういうこと!
私がそんなことしたら浮気女って不機嫌になるのに。
帰ってやる。
二度と会わないから!
謝っても許さない。
寒さなんてふっとばす勢いで道明寺に背を向けて大股で立ち去る。
「牧野ッ」
聞こえてきた聞き覚えのある声はだんだんと近づいてくる。
大股の私と走ってくる道明寺じゃ追いつかれないわけがない。
べつに道明寺が追いつくのを待ってわざとゆっくり歩いてるわけじゃないから。
「おい、どこに行くつもりだ」
「帰る」
くるりと振り向いた私は一言放って道明寺を睨みつけた。
「ちょっと遅れたくらいでなにふてくされてるんだ」
「遅れたくらいで機嫌が悪くなったわけじゃないもん」
「それじゃなんだ?」
グイと私に道明寺の顔が近づいてきた。
したたかさが感じるその表情は悪びれる様子も見せずに私の不機嫌さを責める。
「自分の胸に聞いてきれば」
プイと顔を横に向けた私の肩が道明寺からガシッと掴まれた。
爪が食い込むかと思うくらいに痛みが走る。
これじゃ鷹に襲われて爪に捕まったまま空に飛びあがられたようなもの。
逃げ場がない。
「お前を不機嫌にさせるようなことやってねぇぞ」
もう無意識?
それならもっと腹が立つ。
「立ち止まっていた時何を見てた?」
「はぁ?」
「お前・・・何言ったんだよ」
私から顔を背けた道明寺の顔が照れてるように見えた。
「私と待ち合わせしていほかの女の人見ちゃうんだ」
「バカッちげーよ」
「私見てたもん、すごい美人を道明寺がじっと見惚れてたの見たもの」
「俺はお前以外の女に興味ねぇよ」
照れもなくふてくされた道明寺の表情はまっすぐすぎるほどまっすぐで嘘はないからドキッとさせられる。
「俺が見てたのは・・・」
言葉を途切れさせた道明寺の表情は怒ってるようで照れてるようで子供みたいに見える。
「なんか・・・
こう・・・
俺がお前にだな・・・」
言いにくそうに言葉につまる道明寺。
「何よ、やっぱり見てたんでしょう?」
違う理由があるらしいことには気が付いたんだけど言いにくそうな道明寺がおもしろくてしょうがない。
「彼女が身体を寄せてだな、甘えて腕を組んでるつーか・・・
うらやましいっていうか・・・
お前にあれされたら俺はだな・・・」
「はっーーーもういい。行くぞ」
私と腕を組むことを夢見ていた割には道明寺が握ったのは私の手首。
「もっとゆっくり歩いてよ」
道明寺の背中が照れ臭そうに肩を揺らす。
片方の腕を伸ばして道明寺の腕にぶら下がるように腕を回して身体を寄せた。
「お前なッ」
「こうしたかったんだよね?」
下から覗き込む私を見下ろす道明寺が軽く舌打ちするのが見えた。
「胸・・・当たってる・・・」
「じゃー離れる」
「離すか」
道明寺の脇がギュッと私の腕を締め付ける。
寄り添いすぎて歩きにくいから歩幅もゆっくりとなる。
足早に私たちを追い越していく人並み。
時間までもいつもよりゆっくりと流れてる気がする。
「おい、急ぐぞ」
「えっ?」
「時間がもったいない」
「ちょっーー」
急かされるままに車の助手席に私を押しこんだ道明寺はそのまま運転席に乗って車を走らせた。