最上階の恋人 15
いよいよご対面(^^♪
あっさり司に、見つかっちゃたつくしちゃん。
高性能のつくし探知レーザーを備えてる司から逃げられるはずなどない。
逃がそうと試みたのですが私もあっさり会わせてしまいました。
しっかりネームもつけたオリキャラ二人の勅使河原さんと槙枝さんをどう活かそうかとただいま思案中です。
「えーと・・・」
思わずうつむいたまま目だけをこそっと上に向ける。
まっすぐに道明寺を見たら道明寺の身体から白く立ち上がる湯気が見えるようで卑屈になってしまってる。
何してるって?
それは道明寺に会いに来たに決まってる。
ちょっと寄り道しちゃってるけど・・・。
待ち合わせの時間まで30分以上早く来ちゃったから、忙しく働いてるであろう道明寺に手間をかけさせたくなかった。
仕事の邪魔にはなりたくなかった。
迎えに道明寺直属のシークレットサービスの男性を向かわせてくれたのは、私を大事にしてくれてるって思えてちょっぴりうれしかった。
初めて来た道明寺本社ビルは、さすが一流企業の風貌を兼ね備えたオフィスビル。
ビルから出なくても一日中過ごせそうな商業施設も完備。
3階以上にオフィスが入るという巨大ビル。
見学したくなるってものだ。
痛い視線を十分に感じながらも言い訳をあれこれ考えてる自分が嫌いでしょうがない。
「久々に、お前に会えるって落ち着かなかったのは俺だけかよ」
耳元で聞こえた道明寺の声。
低めに拗ねたような声が耳元をかすめる。
いろいろ悩んで頭で考えてるうちに気が付かないままに道明寺に引き寄せられて、すっぽりと力強い腕の中に閉じ込められてしまってた。
頬に触れる上質なスーツの肌触りはここちよくてしょうがない。
ドクンと大きく感じた道明寺の心音。
久しぶりに鼻先をくすぐる道明寺の匂い。
いい香りっていうか、芳しい香りってこんな匂いを言うのだろうかと思う。
ずっとこの香りに包まれていたいって思う。
おいしいにおいを嗅いだらお腹がきゅっってなるくらいの自然現象。
焼き肉の匂いを嗅いだら性急に食べたくなる感じ。
私が道明寺を食べるというわけじゃない!
不機嫌だと思ってた態度からいっぺんして拗ねたように聞こえた道明寺の声に胸の奥がキュンとふるえてしまった。
横柄な俺様の道明寺が予想外な態度を見せて甘えられたら、何も言えなくなる。
今日は久しぶりに道明寺に会えると思ったから落ち着かなくて、少し早いと思ったけど、家で時間を過ごせなかった。
心が急いで、少しでも早く道明寺の近くに行こうと思っていた。
「道明寺・・・」
たまには素直に道明寺に甘えられる気がして動きした唇が道明寺の名前を呼ぶ。
「キャー、本物」
「代表!?」
「どうして?」
「え?どういう関係」
「ほら、この前の新聞をにぎわせていた記事の子じゃないの?ほら雪山の遭難!」
どこからともなく聞こえて来た声にハッと我にかえった。
その瞬間、素直に甘えたかった気持ちとは裏腹にガシッと伸ばしきった両腕は道明寺の胸を突き放すように動いていた。
「ッツ」
唇を噛むように短く聞こえた唸り声。
それ以上の声は聞こえないままに鋭く光った両目が私を見据える。
てめぇツ!
暗黙の中にそんな声が道明寺の瞳の中に見えた。
「先輩、すいません。これじゃ私が黙っていても何にもならなかったですね」
謝る気なんて全くなかったような笑顔の槙枝さんが私の肩を叩く。
今の騒ぎを作った張本人は不愉快さをにじませたままの表情を壊さないままに私の目の前に立ちふさがってる。
「来い」
グイと絞られるように掴まれた手首は私を吊り上げるように上に持ちあげられた。
抵抗するように逃げようとした動きは大した抵抗にもならないまま私の腕を絞める道明寺の力を増やしただけだ。
「見世物になるつもりか?」
静かに言い放つ道明寺の声はこの場では全くの正論。
握られた腕からすっぽりと力が抜け落ちてしまった。