ジェラシーを情熱に変えて おまけのお話

おまけーーーっ

いつもならもちろんつくしちゃんが食われるおまけなのですが・・・(;^ω^)

今回は司の仕返しがまだ終わってないからね。

印籠を見せて悪者をひれ伏せるクライマックス!!って・・・

時代劇じゃないですよ~

それに司の正体みんな知ってるしなぁ・・・。

 *

「牧野、心配したよ」

ホテルにたどり着いた私たちの前にすぐに駆けつけてくれた花沢類。

「相当疲れてんな」

私の顔色をうかがうように覗き込んできたのは美作さん。

「司は疲れてねぇようだけど・・・」

私と道明寺を見比べたのは西門さん。

疲れてるとか・・・疲れてないとか・・・

顔が熱くなりそうな自分をどうにか誤魔化した。

重ねた素肌で温もりを分け合う。

本当に遭難して寒さをしのぐためなら確かにそれは有効だと思う。

無理やりに脱がされた感のある服はベットのそばに散らばって落ちた。

「どれだけ心配したかわかるか」

そう言って身体をなぞり落ちていく道明寺の唇と指先。

気が付けば互いの温もりを貪りあってしまっていた。

同じ時間抱きしめあって求めあったはずなのに、道明寺の体力は消耗されるどころか充電完了のように元気に輝いてる。

付き合えない・・・

何度となく思いこまされた現状。

それを西門さんから指摘されてるとは道明寺は気づいてないってわかる。

本当なら朝食の時間までには戻れたはずだ。

10時過ぎのホテルのロビー。

チエックアウトするお客でにぎあいを見せるロビーから少し離れた柱の陰。

縮こまってうなだれてる数名。

縄をうたれてるはずはないのにギュッと縛られて身動きができないような状態で固まってる。

あの人達・・・

一人は私をホテルから追い出したドアマン。

手を振って野良犬でもㇱッって追い払うような仕草を見せられた。

道明寺を呼んでって訴えても全く取りあってくれなかった。

私を代表のストーカーだとドアマンに耳打ちしたフロントの男性も顔も見つけた。

私の視線からプイと顔をそむけたのは私を担当していた桃井さんだ。

「こいつら、どうする」

床に座りこませるように美作さんの腕が動く。

「俺の婚約者を知らないってことが常識不足なんだよ」

「司と牧野の関係って常識なのか?」

憮然とする道明寺をからかうような西門さん。

そこは常識じゃなく認識不足が正解じゃないの?

なんて突っ込みは今日は封印しておこう。

「牧野が司の婚約者じゃなくても、天候の荒れそうな夜に外に追いだすなんてこと

人間としてできねぇんじゃねぇのか?

牧野に何もなくて命拾いしたな」

座り込んでる3人の前に膝を折って腰を下ろす美作さん。

黒社会を抑え込んでるって黒い噂も嘘じゃないって思えちゃう威圧感。

蛇に睨まれたカエル。

多勢に取り囲まれてリンチに震える弱者。

けがをしてるわけじゃないのに顔に殴られてるあとでもつけられたようなビビり感。

震えて閉まらない口元。

「ストーカーだと追いだしたのは誰だ」

「僕は桃井にそう言われただけです」

手を合わせて拝むような姿勢。

床に擦り合わせる額。

ちらりとこちらを気にしていったん足を止めた客が見ないことにしようとする雰囲気で足を速めていく。

「クビだけじゃ足りねぇよな」

何にも言葉を発することができずに桃井さんは顔色を失ってる。

「雪の中にぶっこむか?」

「どうせなら素っ裸にひん剥いてホテルの外に放りだすか?」

道明寺が私に確認するように振り向いた。

「そこまでする必要はないんじゃないかな・・・

ほら、私も道明寺も、助かったんだし・・・」

「お前それ、本気で言ってんのか?」

「えっ?」

「俺が死ぬほど本気で心配したのとわかってんの?」

グイと私に詰め寄る道明寺の両方の瞳は炎をメラメラと燃え上がらせて私を睨みつける。

「こいつらをクビにして、道明寺だけじゃなくお前らの系列のところでも就職できねぇように手を打て」

私から目をそらさないままに道明寺は静かに言い放つ。

感情を抑え込んだその声はいつもより冷酷で凍り付きそうな冷気。

「おいおい、それって日本じゃ働けなくなるぞ」

「日本だけじゃなく外国でも無理なんじゃねぇ?」

「雪の中に素っ裸で放り込まれたほうが生き残れるぞ」

3人の言葉に目を見張る私。

「そこまで・・・しなくても・・・」

「だから、お前は甘く見られるんだよ」

「甘く見られたって、私の場合はそこまで困んないし・・・」

「お前が困らなくても俺が困るんだろうが、お前の自覚のなさには飽きれる」

口角をフッと上げて小ばかにしたような道明寺の笑み。

ムカつくッ。

丸みを帯びた固さを背中に感じる。

天井まで伸びた大人一人は簡単に隠しそうな大きな柱。

そこに押しやられてしまってる。

しっかりと私の左右の肩の上を通って頬の外側にしっかりと道明寺の腕が撃ち込まれてしまってる。

身動きがとれないっ・・・

「一番、仕置きをしなきゃいけないはお前だな」

仕置きって・・・

何する気?

目の前でにんまりと笑った道明寺のその表情が悪魔に見える。

「こいつら3人への仕返しはどうなった?」

腕組みをしたまま私たちを美作さんが見つめてる。

「司の記憶の中にもうこいつらのこと存在すらしてないかもね。

俺は忘れないけど」

最後に聞こえてきた花沢類の言葉がやけにリアルに響く。

「俺たちの存在も忘れられてる気がする」

ぽつりとつぶやいた西門さん・・・

しっかり楽しんじゃってる気がした。

助けてよッ!