DNA  CUSTOM 3

転校の話が持ち上がったところで中断してたこのお話。

まだまだ2話なので読みなおし可能かな?

駿が二階から転落してあわや親子二代での記憶喪失!

はたまた入れ替わり(駿君と蒼君)になるのかと思った方もちらほら。

どちらも選べなかったのはお話のマンネリ化を避けたかったらですが・・・

無理やり駿君を転向させたらそれも司と一緒じゃんとなりますよね?

さぁこの話どう進むのか!

私もまだ結末は未定でございます。

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誰がなんといっても転校をするつもりはない。

今の生活は気に入ってる。

ホッと息を抜ける空間は英徳にはなかったものだ。

ちやほやされるのが当たり前で、いつも特別に見られていた。

上流階級の集まる英徳。

その中でも道明寺のブランドは特別。

寄付金の金額が学園内での優越度を決める。

戻ったら、息が詰まる。

英徳での僕はどこまでも道明寺の名前に縛られて身動きがとれなくなる。

「道明寺様」と呼ぶ声には平等さの欠片もない世界。

ありのままの高校生の自分をさらけ出して、バカみたいなことで笑いあえる仲間がいる。

等身大の自分でいられる生活。

何もかもが新鮮で面白い。

一番の理由は鮎川・・・菜花がいるって理由も父さんと母さんならわかってくれるって思ってる。

転校なんてさせられてたまるか!!

気を吐いて開いたドア。

開いたドアを思わず閉めてももう一度そっと開いた。

部屋の奥で父さんに面と向かって言いあってる母さんの姿が見えたせいだ。

「何考えてるの?」

「子供たちには自分のような思いはさせたくないから好きなようにやらせるんじゃなかったの?」

その母さんに背を向けるように父さんが立ち位置を変える。

「駿の学校のことだって今まで何も言わなかったし、楽しんでるように思えたけど?」

今の段階で僕の転校には母さんは反対なんだって分かってほっとした。

二人がやりあえば最後に勝つのは母さんってことで、先の展望は明るい。

ここで僕が入って二人で反抗すれば頑なな父さんが出来上がる。

それは急ける方が利口というものだと僕は理解してる。

落ち着きを取り戻した僕はわずかに開いたドアをそっと閉めてその場を立ち去った。

「駿・・・」

「来てたな?」

「え?」

駿がいたことに気づかなかったつくしはそのまま入り口を振り返る。

「俺たちの様子を見て帰っていったよ」

入り口から視線を俺に移したその顔は間抜けにしか見えねぇ。

「俺に意見してるお前を見て安心したって帰ったってとこじゃねぇか?」

「なんでそんなに冷静なのよ」

くるりと首だけ後ろに回してちらりとつくしに向けた視線。

いつもなら俺に食いつくこいつを頭から否定して受け付けないって思ってる表情が拗ねた。

「思い付きで転校のことを言いだしたわけじゃねぇから」

テーブルの上をコツコツと指が鳴らす。

漆黒のテーブルに移りこむ自分の顔。

その中に映しだすのは数時間前のお袋とのやり取り。

最愛の孫の転落を聞いて一番動転してたのはおふくろだった。

あんなに取り乱したお袋を見たのは生まれて初めて。

俺が大けがした時も部下に任せて見舞いにも来なかった親だぞ。

二度と傷一つつけることはさせません!

そんな勢いで乗りこんできた。

いきなり自分の手元で駿を置いて教育するって息巻いて手に負えない状況。

やさしいおばあ様の駿のイメージ崩壊の昔の鉄の女経営者復活。

あのお袋が本岐を出せばどんな手を使って来るかわからない。

おれがうまく立ち回るしかねぇんだよ。

「お前さ、駿が危ない目に合ってあのお袋が何も言わねぇとは思ってねえよな?」

「そりゃ、心配で駆けつけて来てくれたし、お小言はたっぷりもらったわよ。

私も黙って聞いてたでしょッ!」

「お前、すいませんしか言えなかったもんな」

「しょうがないでしょう」と、つぶやくその表情にはいつも俺に見せる勝気な性格が見え隠れす。

「俺はおふくろよりお前のほうが大事だから心配すんな」

「助けてくれなかったじゃない」

それは俺よりお袋のほうが来るのが早かったためだ。

ほとんど一方的な言いあいは俺が扉を開いた瞬間に終わってたぞ。

まだ意識の戻らない駿のベッドのそばでの異様な雰囲気。

あいつが目を覚ましてなくてよかったって本当に思う。

おふくろの小言くらいでめげないほどお前は強い。

昔一人であのお袋に立ち向かっていった強さは誰にも真似できねぇよ。

「本気で駿を転校させるつもり?」

「どうかな・・・」

あいつがどう俺に刃向ってくるか見たい気もする。

あいつ素直に育ちすぎてんだよ。

捻くれたところは少しもねぇから。

嘘に対する免疫がねぇのはつくしの遺伝だと思う。

俺の後を継ぐつもりなら傲慢さと冷酷さを兼ね備えてなきゃ経営者には不向き。

人を使うより使われる方が楽なタイプかもしんぇねし。

俺は俺の息子が鼻で他人にこき使われるのは見たくねぇ。

「どうかなって・・・

場合によっては転校させるってこと?」

詰め寄ってきたつくしの気配を背中に感じる。

肩に置かれた腕がグイと俺の身体の向きを変えた。

「あいつ次第だ」

「あの子が苦しむようことはしないよね?」

「苦しんで、悩んで、迷って、答えを見つけることも必要だろ?」

スーツの開いた乱れを直しながらつぶやく俺をつくしのまっすぐな瞳が見つめる。

「あの子が、助けを求めたら私は駿の味方になるから」

「勝手にしろ」

つくしが駿の味方に付くのは想定ないだ。

べつに怒る気もない。

俺は傲慢、わからずやの親父を演じるつもり。

ついでにあいつら、総二郎にあきらに類まで使える者は総動員だ。

まて・・・

あいつら!

俺より、つくしに付く可能性・・・あり?

負けられねぇっ。