最上階の恋人 25
夏休みの間、韓国好きな娘と一緒に韓流ドラマ三昧の日々でした。
恋愛ドラマに時代劇。
チョン・イル 、イ・ジュンギ、パク・シフ、ソ・ガンジュン(^^♪
自分の好きなアイドルの出ているドラマを好んで見ている娘。
韓国のアイドルは全く分からない私。
デモ見たくなる気持ちはわかるよ~
真央ちゃんもJもドラマが始まるから今から楽しみです。
このお話はさてどう進むのかな~
あいつが食事の時から上の空だったってことは俺にもわかる。
いつもなら取られる前に食べる空腹状態のいぬっころ。
口を大きく開いて一気に詰め込みうまそうに口を動かす。
俺の目の前で極上な笑みを浮かべて幸せそうな表情。
俺は食べ物に負ける。
ありえねぇぞ。
それでもその笑顔が見れるならおいしいものをどんどん与えたくなる。
食べ物ならどんな高級品を差し出しても牧野は文句は言わねぇし。
食事中の牧野は目の前の俺を全然見てねぇし。
口に入れたはずのトマトがポロリと皿の上に落ちたのも気がついていない。
まあ・・・
その状態でも料理を全部平らげたのは牧野らしいといえば牧野らしいが。
部屋に戻って一人でこもるシャワールーム。
頭上から流れ落ちるシャワーは熱くなりすぎた熱にはちょうどいい冷たさの水温。
仕事を短時間で済ませて何も縛るものがない状態で牧野と過ごしたかった。
あいつ以外のことはすべた頭の中から排除しあいつのことだけが占める世界。
余裕を見せたつもりであいつを先にシャワー室に送った。
聞こえるはずもないシャワーの音がPCのキーをたたく音より頭の中に響いて焦った。
仕事が片付いたのになかなか戻ってこないあいつ。
音をたてないように浴室に足を忍ばせたのは俺があいつを気にしてるところを知られたくなかったからだ。
薄い布切れを手で持ったままにらみつけてブツブツと独り言を言う牧野はバスローブを羽織っただけの姿。
濡れたままのストレートの黒髪から落ちる水滴は肩をわずかに濡らしてる。
膝から下が見える白い足は艶やか。
「え・・・と・・・
風呂から出たらどうすればいい?
バスローブは着たけど・・・
下着はつけた方がいいのだろうか?
それともこのまま?
やっぱり着替えた方が・・・ 」
一人で押し問答をしてるその内容にありえねぇくらいに心臓が高鳴る。
それ。
面と向かって言われたら即効性抜群の口説き文句。
「なにしてる?」
冷静を装いながら出す声の落ち着きのなさはここ最近で随一のもの。
まだ早い。
言い聞かせながら強がる俺。
突然現れた声に牧野も慌てふためいた表情を浮かべてる。
「どっちがいい」なんて聞かねぇだろうしな。
互いに自分の感情を抑え込んだ駆け引き。
からかうように牧野が落とした薄い布切れを俺は広い上げる。
手に触れたシルクの感触。
真新しい下着。
こんなの触ったの初めての体験。
「こんなの買ったんだ?」
動揺が顔に出そうな気配を冗談で閉じ込める。
「返して」
簡単に返したくないのは自然と牧野が俺に飛びつくように身体を寄せてくるから。
「どうせ、脱がすんだから、着なくてもいいぞ」
飛び上がった牧野をそのまま俺の腕が受け止める。
飛び跳ねるたびに牧野の身体から薫る清純な香りの中にわずかに混じるローズの香りが鼻先に触れる。
「何にもつけないのが正解だぞ」
聞いてたの?
そんな驚きの表情を浮かべた牧野は俺から逃れようともがく。
これが限界。
一気にこの流れで牧野を抱くのは予定外のことで・・・
自分の予定した段取りでは食事をして牧野の気持ちをもっと尊重するつもりで・・・
無理やり押し倒すなんてことはしたくなくて・・・
一呼吸吐いて落ちつかせるつもりで牧野を突き放した。
食事中も牧野しか見てなかったって告白したらこいつはどんな表情で俺を見るのだろう。
シャワーを浴びながら食事前の俺たちのことを思い出している。
冷水を浴びても効果ねぇぞ。
俺も・・・
バスローブの下どうするかな・・・
牧野のシャワー後の悩んでいた姿を思い出しながらクスッと笑みが漏れる。
何も付けないのが正解だった。
明るさが一つ落ちたような落ち着いたライトのオレンジの光。
キングサイズの端にちょこんと腰を下ろしたままの牧野。
両脇に付いた腕で身体支えながら両足を揺らしてる牧野は自分の足先に視線を落としたまま。
ドレスを着たままの牧野は俺とは対照的な鎧をまとってるような重装備に思える。
気持ちが折り合ってねぇな。
「着替えてないのか?」
俺の声にハッとしたしたように牧野が顔を上げて俺をじっと見つめた。