最上階の恋人 28

甘~い夜を過ごした二人。

気になるのは目覚めた後 (^^♪

どんな余韻が残ってますことか。

見てない方にも想像できる感じでお話をつなげたいと思っています。

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窓辺のカーテンを揺らす潮風。

そこから差し込む光に反射して小さく何かが光る。

脱げないドレスにしびれを切らして引きちぎった真珠の小さなボタンだと気が付くのにそう時間はかからなかった。

昨夜は気が付かなかったあいつも、今朝はきっと気が付くはず。

そして、気が付いた強気なあいつは「破ったの?」と、口を尖らせて不満な顔で俺をにらみつける予測を立てる俺。

「大したことじゃない」

つーてもあいつは納得しないだろうけど。

あいつのことは結構わかってるって俺は思う。

すげーだろ。

気が付くと口元が勝手に緩む。

なんか・・・

寝た時と違う感じに寝ぼけた脳を必死で働かせる。

あいつを抱きしめて腕枕で寝ていたはずなのにやけに軽い左腕。

床が見えたのは何の障害物もなかったためだ。

乱れたシーツの波がやけに白く冷たく孤独を感じさせる。

「牧野ッ!」

動揺を機動力に変えて上半身を起こす。

ベッドの端で枕を両手で抱え込んでる牧野と目が合った。

「何してんだ?」

初めて夜を一緒に過ごして目覚めた朝は互いの腕の中で目覚めるって定義はねぇのかよ。

「来いよ」

伸ばした腕から逃げるように枕を押し付けるように牧野の腕が俺の目に押し出される。

「近づくな!」

バリケードを作る構えを見せる牧野。

どういうつもりだ?

今更、恥ずかしがる必要もねぇだろうし。

牧野はシーツを身体に巻き付けてるにしても、向かい合う俺らは素肌をさらしたままだ。

「道明寺・・・

ずっと触りっぱなしなんだもん」

引き戻した腕は枕を再度ぎゅっと抱きしめる。

その上に顎を乗せて俺を上目使いに見る牧野はしっかりと赤く色付く。

そういわれれば・・・

背中からまわした腕。

触れ合う素肌。

胸元に牧野の背骨のラインを感じる密着度。

抱き寄せると指先は自然と牧野の胸元からウエストを結ぶラインの斜めに結んでしまう。

わざとじゃねぇけど、やわらかい丸みを帯びた方に勝手に指先は伸びていく。

触りっぱなしって言われてもそれは俺が責められる必要はねぇって思う。

触れ続ければ・・・

もう一度・・・

抱きたくなって・・・・

指の動きは・・・

牧野の肌を彷徨い・・・

体中に唇をもう一度這わせて・・・

自分の熱を高めてしまうのはどうしようもなくて・・・

一度で終わらなかったのは、俺だけの一方通行じゃなかったはずだ。

「いやだったのか?」

「・・・

いやじゃないけど・・・」

一呼吸の間をおいて小さくつぶやいた牧野はますます枕に顔をうずめて目だけしか見えてない。

「いやじゃないんだよな?」

コクンとうなずく牧野。

俺の喉元がククッと音を鳴らす。

そして、クスリとした甘い感情が胸の中に落ちて波紋のように広がる。

「来いよ」

しっかりと引き寄せた牧野が落ちた枕を拾うのをあきらめて俺の胸元に納まる。

「も・・・もっ・・・ダメだからね」

「なんで?」

このまま一日中部屋の中に籠って過ごしても誰も邪魔し来ないはずだ。

これを逃したらこいつとまたデートできる時間をそうとれるはずがない仕事のスケジュールを俺は了解してる。

「今しかねぇんだよ。

お前とイチャつけるのッ」

俺を見上げる牧野がまん丸く見開いたまま俺を見つめる。

牧野が顔を下げないように鎖骨からしっかりとまわす腕。

そして重ねた唇は甘く牧野の唇を吸い上げる。

サイドテーブルから聞こえるスマホの呼び出し音。

二人の息使いだけが聞こえていた部屋にけたたましく鳴り響く。

その音に唇が離れ、そして俺たちは顔を見わせた。

誰だッ!

俺の最大のミス。

連絡の相手は西田だと直感してる。

スマホの電源を切っとけばよかった。