最上階の恋人 29

おはようございます。

区切りがいいとこまで続けたらもう一つにお話の更新に取り掛かるつもりです。

あちらもいい感じに行くような・・・いかないような・・・

初めて二人で迎える朝につくしちゃんの「近寄るな」の声。

司には意外でしたよね。

つくしちゃんが逃げたくなるまで頑張った司君はいったい、どんだけ~ぇ(ちと古い)

今までたくさん二人の朝は描いてきたので意表を突く場面をいろいろ妄想。

これならあり得る!

つくしちゃんの「近づくな」のセリフに行きついたわけです。

お初なのに・・・

司君の体力にはさすがにつくしちゃんも値を上げるはず。

だからってここで近づくなのセリフが言えるのはつくしちゃんだけだと思います。

最愛の彼氏に向って言えないぞ~

そんなセリフを言わせる私はマゾかしら?

この場面はもちろん日本版ドラマのあの二人で私の頭の中で再現してくれちゃってます。

これ以上・・・

無理ッ・・・

それなのに道明寺に触れられた途端、いままで知らなかった自分がそこにいて・・・

苦しいのに・・・

熱く私を求めてくれる道明寺がうれしくて・・・

何度も私の奥に入りこんで、貫かれて、かきみだして・・・

止めようがなく広がる熱に体中が侵されていくみたいに乱されていく。

こんな自分は知らない。

目覚めた後に・・・

道明寺の軽やかな寝息を立てる整った顔立ち。

寝返りとともに私を抱く右腕。

目がとらえた指先とわずかなに開く唇が何度も私の肌の上をなぞられて燃え上がった記憶が鮮やかに燃え上がる。

朝焼けの差し込む光が部屋中を明るく照らして、はっきりと目に見える情景は昨日の熱情の跡をしっかりと私に見せつけてくる。

こんな明るい中で道明寺にまとわりつかれた昨日よりはっきりと認識できて、恥ずかしさは光を落とした部屋の数倍はは透かし差が増すって思う。

目覚め道明寺に「近づくな」の拒絶の言葉が出たのは無意識。

あきれたような道明寺の表情が私の胸の奥で気まずさを植え付けてくる。

「いやだったのか?」

かすれたままの道明寺の声。

普段の道明寺からは想像もできないような頼りなさ。

いやじゃないとはっきりと言えないためらいは、どうしても昨日のことを体中の細胞が覚えてるせいだ。

引き寄せらられた瞬間にダメだといいたいはずの理性はすでにほころびかけてしまってる。

「今しかねぇんだよ。

お前とイチャつけるのッ」

やんちゃな子供の顔で私を覗き込む道明寺に何も言えなくなる。

キュンと胸の奥をつかまれた感じにどうとでもなれなんて感情も沸き起こってしまってる。

いったいあとどのくらい道明寺と二人で過ごせるのか・・・

きっと戻ったら道明寺の仕事のスケジュールはいっぱいいっぱいなんだよね。

昨日もこんなに長く二人でいられるとは思ってなかったんだから。

重なられた唇の間から流れ込む道明寺の吐息。

道明寺の香りが鼻腔から流れ込む。

道明寺から受けるキスはとろけるように甘く私を誘い込む。

ベッドサイドテーブルから聞こえた呼び出し音が私たちを現実に引きもどした。

顔を見合わせた私たち。

道明寺は不機嫌に唇をチッと鳴らす。

「出たくねぇ」

出たくないって・・・

「鳴ってるの私のスマホだけど?」

「お前の?」

テーブルの上のスマホを凝視して道明寺がつぶやく。

「このタイミングで連絡入れるのは西田だけじゃねぇのかよ」

「まて・・・」

スマホを取ろうと動く私を道明寺が一瞬止める。

「総二郎とか、あきらとかじゃねぇだろうな?」

あいつらなら出るなと否応ない態度。

「ママから見たい・・・」

私の言葉に道明寺が固まった。

連絡もなしに外泊した私を心配したに違いない。

思いもしなかったこの発展に家に連絡入れることを思いつく常識もなくなってしまっていた。

「俺から言う」

「いや、まずは私から」

スマホを握った私の腕を道明寺が握っての何度めかのやり取り。

どちらかの指が偶然に通話のボタンを押して聞こえてきた声。

「つくし~起きてる?」

今どこじゃなくて?

「道明寺さんもいるの?」

「何で知ってるの」

思わず大声で言ってスマホの画面と向かい合った。

ビデオ通話になってないのが幸い。

この状況を見られた日には即通話を終了させなきゃいけない。

裸のままの私と道明寺がベッドの上でじゃれ合ってる状態にしか見えないもの。

スマホの取り合いをしてるなんて誰が思う。

外泊の理由はすでに了解してるわけなのはなぜ?

私が外泊する理由が道明寺だと思われるのは妥当だといえば妥当なんだけど・・・

それでも一応は確認するでしょッ。

「西田さんから連絡をもらったのよ。

つくしは道明寺さんと豪華客船に乗ってるからってね」

道明寺と二人だけってことは気にならないのか?

そこは聞く必要もないほどご機嫌なママにどう対応するべきか脳を働かせる。

外泊してごめんと謝る選択肢はすでになくなってる気がする。

「西田のやつが、どうしてお前の親に連絡入れるんだよ」

不服そうな声が私の横で聞こえる。

「貸せ。

もしもし」

私の携帯は否応なく道明寺の手のひらの中。

はいとかいいえとか言わなくなった道明寺が神妙な面持ちのままスマホを私に投げた。

え?

もう通話切れてるし・・・

私の手のひらに上に落ちたスマホの画面はすで光を落としてる。

「お前の親父さんに変わってた。

お前を頼むとか・・・

お土産を待ってるとか言われたぞ。

俺と一緒にいるんだから言い訳も必要ないはずだしな」

神妙だった顔つきはすでに俺様に変貌。

私を引き寄せようと伸びた腕から間一髪のタイミングで私は後ろに立ち位置を移す。

「逃げるな」

「親の声を聴いた後に続きができるわけないでしょう」

「続き・・・したいのか?」

「したいって言ってない!」

ニンマリと笑う道明寺は私をからかって遊んでる。

「西田がお前の親に連絡してるってことは・・・

くそっ」

私に背を向けるように道明寺はベッドの上にうつぶせに身体を投げ出した。

「西田さんにばれてないと思ってたの?」

「ヘリを呼んだ時にすでにあいつは情報を掴んでたんだろうけどな。

ばれても、海の上ならあいつもお追いかけられねぇだろうから次の就航先まではお前と二人で過ごせるつもりだったんだよ。

すでに昨日から仕事もさせられたわけだしな。

これ以上あいつのもくろみ通りに進んだら面白くねぇ」

力強く言い切る道明寺の考えは私には読めない。

西田さんと戦ってるわけじゃないよね?

道明寺の対抗心がメラメラと燃え上がってるのが見えた気がした。

「西田が何かし仕掛けるまでは部屋から出ないからな」

えっ?おっ!

ゆらっと揺れて私に近づいた道明寺に抵抗する間もなく抱きかかえられた私はベッドの上のそのまま身体を落とされた。

仕掛ける前に普通は対策でしょう!

西田さんに対策・・・

無理かもだよね・・・

って?

何のための対策を立てる必要があるのか・・・

わかんないよ~。