戯れの恋は愛に揺れる  41

おはようございます。

3連休はいかがお過ごしでしょうか?

私は明日は仕事だよ。(^-^;

子供は代休が火曜日に振替で4連休。

どこかに行きたいとねだりますが「よだきい(怠い)」と却下。

その結果こそっとPCを隠れて使う羽目になってしまいました。

それではこそこそと皇子と姫の恋模様を再開いたします。

「お目覚めでございますか?」

姫様と呼ばれた声に寝ぼけ眼でつくし姫は目を凝らす。

ここは・・・

御所のはずで・・・

隣には皇子が眠っているはずで・・・

こんなところを見られたらいけないのではという思いが一瞬でつくし姫の脳を目覚めさせた。

慌てて身体を起こした姫は寝所の中にいるはずの皇子を探す。

「いない・・・」

寝所の中はつくし一人分の熱しか残されておらず、つくしが寝入ってる間にどうやら皇子はいなくなってしまったらしいのだと、

寝具の冷たさがつくし姫に悟らせる。

それがなぜか寂しくもあり、つくしは胸の奥にポツンと穴が開いたような気がした。

「起きてます」

つくしの返事を待っていたように障子が開いて三つ指をついて頭を下げた女官が足音も立てずに部屋の中に進み行ってきた。

その後ろにはつくしの身支度を整える道具をうやうやしく捧げ持った召使が数人続く。

慣れていたはずのこの仰々しさに全てを人に任せて自分では着替え一つもさせてもらえなかった御所の生活がよみがえる。

「自分でできます」

なんど試みたこの言葉はすべて聞こえてないような素振りで召使たちは自分の仕事を全うしていくことをつくしは身をもって知っている。

全ての着替えが終わるまではつくしの声は召使たちに届かないも同然なのだ。

着替えが終わっても皇子の居場所を聞くこと出来ないとつくしは思っている。

顔を洗い差し出された白い布で顔をふく。

髪を解き、つやを取り戻した長い黒髪は肩から腰の上に流れ落ちる。

簡単に身動きできそうもない重みをもった自分の身体をつくしは煩わしく思う。

以前の自分ならすぐに飛び出して皇子を探し回ったことだろと思うと小さく笑みがこぼれた。

「起きたか?」

なんの前触れもなく突然現れた司皇子に驚いたのはつくしより女官だった。

正座をし頭を床に擦り付けるように下げてしまってる。

女官たちを気にかける様子もなく司はその前を通り抜け、つくしの前に司は腰をお下ろした。

「どうだ、眠れたか?」

すがすがしい表情で司はつくしの前に顔を突き出す。

真正面で見つめられてる状態につくしの心臓はドクンと大きくはねる。

一つ高いところに座っていたつくしと司の視線の高さは同じくらいとなる。

いつもは見上げる形のつくしにとってはその不自然さがまぶしいくらいに感じるのだ。

いつもとは違う・・・

それはつくしが司を見下ろしているせいで、上座に座ってるためだと気が付くのにそう時間はかからなかった。

自分が上座に座ってることに慌てたつくしは、上座を司に譲ろうと立ち上がった。

「べつに、かまわない」

「そんなわけには・・・」

つくしが気にしたのは周りにかしずく女官たちの方だ。

つくしが東宮妃になるとは決まっていても、つくしはあくまでも皇子に仕える立場となることには変わりない。

司より上座に座ることなどあってはならないことなのだ。

「俺がいいと言っている」

立ち上がったつくしの腕をとった司は強引に座らせようと動く。

引き寄せられる形のとなったつくしが元の上座に戻ることは困難で司の膝の上に落ちるように身体のバランスを崩してしまう。

上座に座るよりも恥ずかしいことになったつくしは司の膝の上で動きようがなくなった。

それというのもしっかりとつくしの身体を皇子が抱きしめてるためだ。

「人払いを・・・」

小さく消え入りそうなつくしの声にくくっと皇子はうれしそうな表情を見せる。

「下がれ」

低く威圧のある声はつくしを見つめるその瞳とはあまりにもかけ離れて冷たく部屋に響く。

すぐさま部屋から消えた人の気配。

ぴったりと閉じた部屋の障子はもう二度と開かないようなそんな閉塞感を感じる。

「昨夜は何もせずに我慢して部屋に戻ったのに、無駄だったか?」

つくしを覗き込む司の瞳が熱を帯びているのがわかる。

「そうではなくて・・・

突然いなくなったり、前触れもなく現れるから戸惑うのです」

不機嫌に自分に刃向う仕草を見せるつくしに司はまったく機嫌を損なうそぶりは見せない。

「それだけか?」

「それだけです」

「本当に?」

皇子は自分をからかってるのだとつくしのほうが気に障る。

知らないうちに自分を一人にした皇子に怒ってるのだとはつくしだけが気が付いていな。

「婚礼までは母に付け込まれるようなことはするつもりはないから、お前も我慢しろ」

ご機嫌な笑い声を立てながら皇子は自分の胸に姫を押し付けるように抱きしめた。